今日は算数の問題です。
計算するより図を書いた方がわかりやすいと思います。
【問題】
小学生180人に対し、野菜の好き嫌いについて「好き」か「嫌い」かで答えるアンケートを行ったところ、
ナスが好きな人は100人、ピーマンが好きな人は70人、ニンジンが好きな人は110人だった。
このうちナスもピーマンも好きと答えた人は40人だった。
またナス、ピーマン、ニンジン、いずれも嫌いと答えた人は1人もいなかった。
この時、ニンジンだけが好きな人は何人か?
この下に回答があります。
正解は50人です。
解説
ニンジンだけが好きな人とはどんな人でしょうか?
それは「ナスもピーマンも両方嫌いな人」です。
「ニンジンだけが好きな人」を数える必要はありません。と言うか、いくら考えても問題文の情報だけで「ニンジンだけが好きな人」の数はわかりません。
ただし「ナスもピーマンも両方嫌いな人」はすぐわかります。
「ナスもピーマンも両方嫌いな人」の数は必ず「ニンジンだけが好きな人」の数です。なぜなら問題文に「ニンジンもナスもピーマンも全部嫌いな人は1人もいなかった」とあるからです、
ここに気付けば、後は簡単です。
ちなみに問題文にある「ニンジンが好きな人は110人」という情報は今回使用しません。笑
ナスが好きな人は100人。ピーマンが好きな人は70人。両方好きな人は40人。これは問題文によって確定しています。
ですから「ナスとピーマンのどちらか一方だけでも好きな人」の合計は130人です。100+70-40=130
※補足説明
「ナスとピーマンの両方好きな人」が40人。この40人は必ずナス好き100人とピーマン好き70人の中に含まれています。
図を書くとわかりやすいです、
ナス好き100人の円と、ピーマン好き70人の円を二つ重ねて重なった部分が40人。重なっていない部分の合計が90人です。
ナスが好きでピーマンが嫌いな人は100-40=60人
ピーマンが好きでナスが嫌いな人は70-40=30人
どちらも好きな人が40人
「ナスとピーマンのどちらか一つだけでも好きな人」の合計はナス60人+ピーマン30人+両方40人=合計130人です。
「ナスとピーマンのどちらか一方だけでも好きな人」の合計は130人です。
ですから「ナスもピーマンもどちらも嫌いな人」は50人だとわかります。小学生は全員で180人なので180-130=50
この問題ではニンジンもナスもピーマンも全部嫌いな人はいません。ゼロ人です。
つまり「ナスもピーマンもどちらも嫌いな人の数」が「ニンジンだけが好きな人の数」と同じになるのです。
よって答えは50人。ニンジンだけが好きな人の数は50人となるのです。
「ニンジンだけが好きな人」をいくら計算しようとしてもわかりません。
「ナスだけが好きな人」や「ピーマンだけが好きな人」の数もわかりません。
ただ「ナスとピーマンの両方を嫌いな人」の数はわかります。それが「ニンジンだけが好きな人」の数です。
ここがわかるかどうかがこの問題のカギです。
真面目な人ほどナス好きが何人でピーマン好きが何人かとか余計なことを考えがちです。
文科省の近年の教育指針である「論理的思考力」とは、子供たちが「目標に真っすぐ向かう能力」を期待するものであります。
真面目が悪いのではなく、質問を理解し、質問の答えを的確に見抜けるかが問われています。
人間は誰しも経験によって「習慣」と「先入観」を持ちます。赤ちゃんも同じです。
人間は「新たに出てきた未知の課題」をつい本能的に「以前経験したことのある問題」にすり替えたくなるものなのです。
「経験で解決できない未知の課題と対峙した時、いかに自分の先入観から脱出できるか」が未来の子供たちに問われる能力です。
コンピューターは記憶力と演算能力に優れます。
人間は想像力と柔軟性を持ちます。
21世紀の情報化社会や国際社会において、子供たちに必要な能力は「想像力」と「柔軟性」であるのです。